<5月のバラ>
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作成日時 : 2008/05/25 14:40
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高校生の頃に住んでいた家は、父が勤めていた会社の社宅であったが、今よりもずっと広い庭があって、築山に赤い鳥居とお稲荷さんが祀ってあった。母がバラの花が大好きだったので、私は学業には目もくれず、その庭の一角にバラ園を作って夢中になった。毎年12〜1月になると10本ほどのバラの木を掘り起こし、土の天地返し(4〜50センチ掘り起こし上下の土を入れ替える)をして堆肥を鋤きこみ、土に力をつけて掘り起こしたバラを植付ける。労をいとわず世話した木に美しい花が咲いた時、暗闇に突然光が射し込んだような景色が現れる。庭じゅうにバラの香りが漂い、癒しの空間に心を泳がせながら達成感に満足していた。あの感動を今も忘れない。
当時、育てたバラの名で記憶にあるのは、ピース、ヘレントロウベル、クリムソングローリーくらいで他は思い出せない。その中に純白の美しいバラがあって、生育も遅く、病虫害に罹りやすくて育てるのに大変苦労した記憶がある。いま、園芸店でもこの種の名前は見なくなった。
その時以来、バラは、いい花を咲かせるために土の管理や病虫害対策など、ほかの草花より作業に手間がかかるので、もうやるまいと決めていたが、一昨年の暮れに、園芸店に並んだバラの苗を眺めて、そんな思いは吹っ飛んでしまった。ハイブリッド系とフロリバンダ系から大苗を5本選んで購入し、高ぶった気持を抑えながら家に戻った。
そのバラがいま、庭に咲いている。中に一本の青いバラ〈ブルーへブン〉があるが、その水色がかったシルバーグレイはなかなか新鮮な魅力がある。中輪種の半剣弁咲きで、ほのかに良い香りがする。切花にして玄関に置いたら、薄明かりの中で存在感のある風情だ。花に差別をつけるつもりは無いが、やはりバラの気品はみごとである。しかしその青いバラは樹勢が弱く購入した時と変わらず、なかなか大きく育っていかない。見た目もひ弱で、病気にも罹りやすい様子だ。壊れ物を扱う気分である。他のものはみな元気に花を付けている。つる性のロンサールは去年からさらに伸びて花数もぐんと増えた。
今は、バラとクレマチスのゾーンにまとめて地植えにしているが、好みのバラをわが家の庭で特別な待遇をするつもりはない、この先背丈ものびて、花数も増えることだろう。他の花木とうまく馴染ませ、バランスの良い配置を考えないといけない。
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クレマチス会の仲間から、西武ドームの「バラとガーデニングショウ」に誘われたが行けなくて残念だった。これからは、どんな催しにも積極的に出かけて楽しもうと思っている。
余談になるが、今回のテーマ<5月のバラ>について、 私はこの言葉を耳にする時、きまって、あのハムレットの中のオフィーリアを連想する。おそらくイギリスでは<5月のバラ>は美しいものの代名詞なのであろう。ハムレットへの愛に破れ、傷心の後狂気のオフィーリアは小川に身を投げる。手折った花を抱えて流れていく彼女に、兄のレアティーズは、美しき5月のバラよ!、、、と語りかける、なんとも切なく感動的な場面だ。演劇では若い頃、日本の劇団のものを3回ほど見ただろうか、芥川比呂志のハムレット、文野朋子のオフィーリアが印象的で今も網膜に焼き付いている。
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